CBDについて知る
2021年オーストラリアではCBDの店頭販売が正式に許可
オーストラリアと大麻
オーストラリアが大麻に対して寛容な国であることは、世界的にも有名です。法律上は大麻の所持および使用は違法行為ではあるもの、一部地域では非犯罪化されているという一面もあります。法律違反とはいっても、罰金さえきちんと払えば犯罪歴には残らないものとして扱われるなど、日本ほど厳格に処罰されることはありません。その罰金も、50グラム以下の保有であれば、160オーストラリアドル（約1万円）と決して厳しいものではなく、取締自体も口頭注意で終わることもあるほど緩いと言われています。
そのため、日本人の想像を超えてドラックや大麻が身近に存在する環境となっており、国全体に蔓延しています。街中では、観光客相手に大麻を進める売人がいたり、ホームパーティーで当たり前のように大麻を吸う人がいるほどです。
国全体に蔓延した大麻が、すべて犯罪組織の収益となっていることはオーストラリアにとって大きな問題でした。また、粗悪な大麻が流通することでの健康被害やヘロインやコカインといった身体的・精神的に中毒性の高いハードドラックに手を出すきっかけになることなども問題となっていました。
2016年に医療用大麻が合法化されたオーストラリアですが、国内での大麻生産に対する規制はかけられたままとなっており、国益としてほとんど意味のなさない合法化だと多くの批判を集めました。
その後2020年には、ACT（オーストラリア首都特別地域）で、個人での使用を目的とした少量の大麻保持及び栽培が合法化されました。首都キャンベラとその周辺地域を含んだエリア限定での許可であり、オーストラリア全土での実施ではありません。
・150グラムまでの生大麻の保持
・個人で2本までの大麻草の栽培(1世帯あたり4株まで)
許可されているのは上記の内容のみであり、個人使用を許可した形であることがわかります。売買や規定量以上の保有は違法であり、公共の場での大麻使用も許可されていません。
合法化の背景には、3つの理由があるとされています。
② 合法化することで多くの税収と経済効果が見込めること
③ 大麻市場を政府の管理下に置くことでハードドラックを防ぐこと
上記3点を目標にかかげ、大麻の合法化に踏み切ったのです。
2021年にCBDの店頭販売がスタート
2020年のACTでの大麻合法化に続いて、今度はオーストラリア全土でCBDオイルの店頭販売が認可されました。もともとCBD自体は合法でしたが、処方箋を必要とする医療大麻としての処方に限定されていました。
2021年2月1日からは、以下の条件で店頭でのCBDオイルの販売・購入が許可されます。
・THCが１％未満であること
・用量は1日150㎎までになるよう表記されていること
上記の条件を満たした製品は、処方箋なしで誰でも気軽に購入することができるようになったのです。2021年2月10日現在、まだ認可された製品はなく実際の販売はもう少し先になりそうです。しかし、オーストラリア国内では多くのメーカーが店頭販売を目指して製品開発を急いでいます。
これにより、ACTエリア以外の人もCBDをつかって合理的に大麻草の薬理効果を得ることができるようになります。CBDなら精神作用がなく、公共の場でも気兼ねなく摂取することができます。大麻に寛容であり、大麻の薬理効果を知っている国民性だからこそ、CBDの良さが分かるといわれているのです。
実際の販売を心待ちにする声は多く聞かれ、SNSなどでも各メーカーがこぞって情報発信をしています。
オーストラリア国内の声
国内ではここ数年の大麻関連の政策を“ハームリダクション”にあたるとして多くの賛同の声が上がっています。
大麻やCBDオイルといったソフトな部分を合法化することで、ヘロインやコカインといったハードドラックの蔓延を阻止しようという狙いです。元々犯罪組織に流れていた巨額のお金が国益として入ってくることで、国が潤いより発展していくことにも繋がる利点も高く評価されるポイントとなりました。
元々大麻に対して寛容だったという国柄もあって、ACTでの合法化および今回のCBDオイルの店頭販売開始については前向きな声が多く聞かれます。
オーストラリアのこれから
オーストラリアの連邦科学産業技術大臣は、2020年のACTでの大麻解禁について、大麻の使用促進を国として推奨している訳では無いと断った上で以下のようなコメントを発表しています。
『この大麻解禁は医療大麻産業の後押しとなる。オーストラリアは、世界の医療大麻産業をリードする立ち位置を目指している』と国内の大麻市場を国益とすることだけでなく、これからの世界に向けた医療大麻産業に力を入れていくことをアピールしました。
現在、ACT以外の地域で許可されているのは、医療用大麻と2021年2月から始まったCBDオイルの販売のみです。嗜好用の大麻は国レベルで見ると違法です。
しかし、ACTでの大麻解禁による犯罪組織の断絶や税収の増加・多くの経済効果については、成功事例として世界中から注目を集めました。この成功経験を生かして今後は許可のエリアが拡大していくのではないかという期待の声が高まっています。
CBDオイルの一般販売許可と合わせて、オーストラリアでの大麻市場の需要はますますの高まりを見せることとなりそうです。
