CBDについて知る
CBDとTHCは異なる【前駆物質とは】
前駆物質（ぜんくぶっしつ）とは、ある化学物質が生成される前段階の物質のことを指して使う化学の専門用語です。前駆体（ぜんくたい）・先駆物質（せんくぶっしつ）とも呼ばれ、英語ではprecursorと表現します。
前駆物質は、単体で起こることもあれば複数の物質が合わさることで起こることもあります。CBDとTHCでは異なる前駆物質についてご紹介します。
前駆物質とは？
前駆物質の身近な例を挙げると、ニンジンなどに多く含まれるβカロテンという成分は、ビタミンAの前駆物質です。ニンジンを食べることで、ニンジンに含まれるβカロテンが体内に取り込まれます。
私たちの身体はβカロテンを上手に活用することができないので、体内にある酵素を使ってビタミンAという物質に変化させて活用しています。私たちの身近にある成分はいくつかの変化を遂げていることが多く、特定の物質の前段階の物質のことを前駆物質と呼んでいます。
CBDとTHCは同じカンナビノイド？
麻に含まれる活性化合物であるカンナビノイドは百種類ほどあるといわれていますが、そのすべてが最初から麻という植物に含まれているわけではありません。成長途中の麻の中に自然と存在しているものもあれば、成長過程で他の物質から変異して生成されるカンナビノイド・酸化した古い樹脂からしか抽出されないカンナビノイドなどさまざまです。
カンナビノイドの中でも薬理効果が高いとされ世界的に注目されているCBDと、精神作用が強く日本をはじめ一部の国や地域で違法成分として禁止されているTHCの2つのカンナビノイドは同じCBGというカンナビノイドを前駆物質としていることが明らかとなりました。CBG（カンナビゲロール）という成分が、麻の成長過程において変異することでTHCやCBDに変化するのです。
麻が植としてが発育していく初期段階から、CBGは麻の樹脂内に存在しています。そこからさまざまな要因の影響を受けることで、CBGのほとんどはTHCとCBDに変化をしていきます。
変化を起こす要因は、土壌の酸性度、光、熱、そしてそれぞれの品種を組成する遺伝的な影響などです。カンナビノイドの変質を促進する特定の大麻草の持つ天然の酵素の働きも関係していると考えられていてます。複雑に影響しあうことでCBGの変異を引き起こしていきます。
変換は麻の発育の初期段階で起こり、植物が収穫できる状態になった時にはCBGは1％程度程しか残っていないといわれています。CBGを大量に抽出するために、この変化をコントロールしようという実験が行われたこともありますが、CBGを大量に含む麻の品種改良の成功には至っていません。これは、発育過程においてどういった要因がどの程度カンナビノイドの変化に影響を与えているかなど詳細なメカニズムが十分に解明できていないことが原因です。
CBG（カンナビゲロール）とは
主要なカンナビノイドの元になる物質であるCBGは、カンナビノイドの母体とも例えられ、mother of Cannabinoid（母なるカンナビノイド）とも呼ばれています。麻に含まれるカンナビノイドを人と例えて家系図を作った時、家系図の頂点に立つのがCBGです。
・抗炎症作用
・骨の成長促進
・抗うつ病
・過活動膀胱治療
・皮膚炎（乾癬）
CBG自体に向精神作用はなく、身体に与える影響はCBDに似ていますが、体内での作用の仕方についてはTHCと似ており、CBDとは作用機序が異なります。受容体に直接働きかけることはしないCBDに対して、CBGはTHCと同様に体内の受容体に直接作用することができます。
そのため、CBGは、CBDよりも効率よく体内で効果を発揮できるものと期待されているのです。
精神活性作用はないものの、中枢神経系に直接働きかけを行うことができるその特徴的な作用機序は、多くの研究者に注目されています。
世界のCBDメーカーの中には、CBGの大量生産に向けた研究に大きな投資をしている企業も多く、次に大流行するカンナビノイドとして注目されています。
THCとCBDは違う物質
日本では使用することが禁止されているTHCと、合法的に使用できるCBD。この2つのカンナビノイドが、元は同じカンナビノイドから成るということに驚いた人も多いでしょう。
前駆物質は同じCBGであるものの、THCとCBDという違う物質に変化した以上、お互いに違う特性を持った物質となります。このような自然の不思議な変化は、カンナビノイドだけに限らずビタミンやホルモンなど身の回りの多くの物質においても同様に起こる現象です。
CBDには精神作用がありませんので安心して摂取することができます。
