洗濯洗剤・柔軟剤について学ぶ
洗濯の悩み|粉洗剤の溶け残り対策
液体洗剤やボール型の洗剤と比べて洗浄効果が高いとされる粉洗剤ですが、溶け残りを懸念して使用を控えているという方も多いのではないでしょうか?洗濯機の仕組みや水温などから、粉洗剤溶け残り問題について考えてみましょう。
洗剤と洗濯機
ドラム式も縦型の洗濯機も、洗剤は洗剤の投入口に入れるのが基本です。洗濯物に直接振りかけてしまうと、洗濯していく中でまんべんなく洗剤の効果が行きわたらないことが多く洗浄効果が落ちてしまいます。また、直に洗剤に触れた衣類の繊維の奥に洗剤の成分が原液のまま染み込んで残ってしまうことで、着用時の肌荒れの原因となることもあります。
粉洗剤も、規定量を洗剤の投入口に入れます。洗濯機の種類によっては粉洗剤に対応していないものもありますので、使用前には取り扱い説明書を確認しましょう。
洗剤投入口に入れられた洗剤は、ドラム式洗濯機の場合には水がある程度溜まってきた段階で投入される仕様となっています。縦型洗濯機の場合には、洗濯層の外側に洗剤が投入されることで、貯まってきた水が洗濯層の外側と内側を行き来することで少しずつ洗剤が洗濯層の中に溶けて混ざり合っていくという構造です。
このように洗濯機は、投入された洗剤が溶け残ることなく水と混ざり合い洗剤液として洗濯物全体に行きわたるような工夫が施されているのです。
水道水の温度と溶け残
洗濯に使われる水は、風呂の残り湯を使う場合などを除いて一般的には水道水が使われます。気温の下がる冬場には水道水の温度も低下し、溶け残りが発生しやすくなってしまいます。
《東京都の平均気温(℃)と水道水の平均温度(℃)》 | ||||||||||||
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月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
気温 | 9.6 | 10.4 | 13.6 | 19.0 | 22.9 | 25.5 | 29.2 | 30.8 | 26.9 | 21.5 | 16.3 | 11.9 |
水温 | 8.9 | 9.4 | 11.8 | 17.6 | 21.6 | 22.3 | 28.3 | 27.3 | 22.5 | 19.8 | 15.6 | 11.7 |
このように、水道水の温度は気温に比例して上下しています。夏場には30℃近くまであがるものの冬場には10℃以下にまで下がり、年間でかなりの温度差があることがわかります。
これは東京都のデータなので、気温が低い地域では更に冬場の水温が下がります。
粉末などの粉体を液体に溶かす際には、一般的に液体の温度が高い方が溶ける量も多くなります。
食塩のように水温と溶解度が比例しない物質もありますが、ほとんどの物質は水温を上げることで溶解度が高まります。これは粉洗剤にも当てはまることで、水温が高いほど溶け残りが発生しにくく綺麗に洗濯機内で水と混ざり合うのです。
粉洗剤を使用する際の最適な水温について各洗剤メーカーからの公表は行われていませんが、一般的には水温が10℃以下になると溶け残りが発生すると考えられています。
洗剤に含まれている成分の溶解度から考えると、30°C〜40℃の水温が必要のように思えますが、実際には冬場以外の洗剤の溶け残りはほとんど発生しません。
これは、水温が多少低かったとしても洗濯層の回転という大きな力が加わることで粉洗剤は水に溶け切ることができるからです。
溶け残り対策
水温が低い時期の溶け残りを防ぐためには、予め粉洗剤をお湯に溶かしてから使用しましょう。この時の最適な温度は35°C〜40℃です。ボウルなどの容器に人肌くらいに温めたお湯をコップ一杯程いれます。割りばしやスプーンなどでクルクルと丸を書くようにかき混ぜると、すぐにお湯が白濁し粉洗剤と混ざり合っていくでしょう。
出来上がった洗剤液を、洗濯機の洗剤投入口に入れて洗濯を開始します。一度水に溶けた粉洗剤は、洗濯機の中で冷たい水道水と一緒になっても問題なく効果を発揮します。これで洗いあがった洗濯物に溶け残った粉洗剤が付着する“溶け残り”を防ぐことができます。
この時に注意したいのは、お湯の温度を高くしすぎないという点です。洗剤の成分である界面活性剤や酵素には、使用時の適正な温度というのが存在します。温度が高すぎると水に溶けきれなくなるなど本来の機能を果たすことができなくなります。
熱湯を使うのではなく、手を入れることのできる人肌程度の温かさを目安としてください。
水温が10℃以下の時は注意
近年では洗剤メーカー各社も試行を凝らし研究を重ねているので、一昔前と比較して1回あたりの使用量が圧倒的に少なくなったのと同時に、溶け残りを防ぐための様々な工夫が施された仕上がりとなっています。
それでも水温が10℃以下になってしまう冬場には、溶け残りが発生することがありますので、予め適温のお湯で溶かしてから投入するようにしましょう。