洗濯洗剤・柔軟剤について学ぶ
洗濯に柔軟剤は必要？理由について考える
柔軟剤を入れるのと入れないのとでは、仕上がりにどのような違いが生まれるかをご存知ですか？近年増えてきている“柔軟剤入りの洗剤”でも、しっかりと柔軟剤の効果を得ることができるのかなど、洗濯における柔軟剤の必要性について考えてみました。
柔軟剤を使うメリット
柔軟剤には、洗濯物の仕上がりを良くするだけでなく、衣類の持ちや乾燥時間など5つのメリットがあります。それぞれのメリットを、科学的なメカニズムを交えて解説していきます。
肌触りが良くなる
柔軟剤の主成分である陽イオンの界面活性剤が、布の1本1本に吸着することで乾いた時の肌触りが良くなります。
イメージとしては、薄い油膜でコーティングされたような感じで、繊維同士のすべりがよくなるので手触り・肌触りが向上し、なめらかな質感を実現します。
毛玉や静電気を防ぐ
界面活性剤により繊維がコーティングされることで、繊維同士の摩擦によるダメージが大きく軽減されます。これにより、繊維同士の摩擦で起こる毛玉や静電気といったトラブルを防ぐことにつながります。
衣類が硬くなることを防ぐ
繊維同士がくっついて硬くなっていくことで、衣類やタオルは段々とゴワゴワした質感になり購入当初のようなふんわりとした柔らかさが失われていきます。
柔軟剤が繊維を包み込むことで、繊維同士の吸着が防止され適度なスペースが保たれます。繊維と繊維の間に空気を含むことができるため、洗い上りがふっくらと仕上がります。
香りを付ける
現在市販されている柔軟剤の多くは、成分として香料が含まれています。香料を含んだ柔軟剤を洗濯の仕上げに使うことで、香料が繊維の内部に吸収され衣類に香りを付けます。
洗濯洗剤に香料を含むよりも、洗濯の最終段階であるすすぎの工程で使われる柔軟剤に香料を含んだほうが繊維の内部に香料が残りやすく香りをより強く実感できるでしょう。
乾燥時間が短縮される
柔軟剤を使うことで、繊維同士の間に適度な空気が含まれるようになるため乾燥時間を短縮させることができます。また柔らかい生地の方が水分の発散効率も高まるため、柔軟剤を使っている衣類の方が、水切れが良いとされています。
吸水性が重要なものには要注意
柔軟剤に含まれる界面活性剤は、水中でプラスイオンを帯びます。衣類の繊維の表面はマイナスイオンを帯びているので、イオン同士が吸着し、表面に膜を張ってコーティングが起こります。上記5つのメリットからも分かるように、柔軟剤が様々な効果を発揮するのはすべてこの繊維をコーティング働きにより起こっているのです。
一方で吸水性が重要なものには、この柔軟剤の働きが悪影響となることも知っておきましょう。
布が汗や水分を吸い取る仕組みは、細かい大量の繊維が水分を吸い取ることで実現します。繊維の数が多く吸水に優れた素材でできたタオルは、手や身体を拭きあげるのに適しています。柔軟剤による繊維のコーティングは、このように繊維1本1本に水分を吸収させたい時の邪魔となるため吸水性が悪化してしまうのです。
普段はタオルと衣類を別で洗濯し、タオルの方には柔軟剤は使いません。ふんわり感がなくなり手触りが気になるようになったと感じた場合には、柔軟剤を入れて洗うようにし、日常的に柔軟剤を使うことは避けるとタオルの高い吸水性を維持することができるでしょう。
柔軟成分入りの洗剤の増加
柔軟剤の成分を添加した洗濯洗剤というジャンルがあります。これは、従来の洗濯洗剤と柔軟剤を別々でいれていた手間を省き、洗剤だけで柔軟剤を入れているような仕上がりに仕上げられるという利便性の高い商品です。
洗濯洗剤も柔軟剤も、主成分は同じ界面活性剤です。しかし、お互いに性質の異なる界面活性剤を使用しており、同時に投入すると効果を打ち消しあってしまい十分な効果を得られないとされてきました。
柔軟剤入りの洗剤は、プラスイオンを帯びない鉱物などの化学物質を使って、双方の効果が同時に得られるよう特殊な工夫がなされていますので、お互いの効果を打ち消しあうことはありません。しかし、洗浄力・柔軟力ともに本家よりは劣ってしまいます。
日常的な軽い汚れ程度であれば十分対応できますが、ガンコな汚れやより高い柔軟効果を求める場合には、やはり洗剤と柔軟剤を分けて使用していくことが推奨されます。
ふっくら繊維で美しく
柔軟剤には仕上がりを良くするという審美的な効果以外にも、大切な服をより良い状態でキープするなど様々なメリットがあります。柔軟剤入りの洗剤でも効果はありますが、柔軟剤の効果を十分に発揮させるためには、柔軟剤を別途使用して洗濯することが推奨されます。
自分好みの香りの柔軟剤を見つけて、気持ちの良い洗濯ライフを送ってみてはいかがでしょうか？