洗濯洗剤・柔軟剤について学ぶ
衣類に残った香水の匂いを落としたい!洗濯方法は?
身だしなみの一つとして人気の高い香水ですが、衣類に匂いが染み込んでしまうとなかなかとれません。自分好みの香りならまだしも、他人の匂いが付いてしまった時など、香水の香りをすぐに落としたいと思った経験はありませんか?
今回は、衣類に染み込んだ香水の匂いの落とし方をご紹介します。
香水の匂いのメカニズム
エタノールやアルコールを溶液とし、そこに様々な香料を溶かしこんで作られた液体のことを「香水」と呼びます。香料は基本的に油性の物質なので、水ではなくエタノールやアルコールといった有機溶剤に溶かし込むことで液体として安定させています。
香りを放つメカニズムとしては、スプレーされた香水から揮発性の高いアルコールやエタノールが気化し、香料だけが肌や衣類に残って香り続けるという仕組みです。
全体に占める香料の割合によって、「香水(perfume)」「オードトワレ」「オーデコロン」と呼び方が変わり、基本的には香料の割合の高いものの方が、香りが強く持続性も高いとされています。
香料として使われるのは、花やハーブなどから採れる天然香料と、天然香料の香りを化学的に再現した合成香料があります。天然香料は採取できる量が限られていることなどから非常に高価で取引されているため、現在流通している香水のほとんどは合成香料を原料としています。
普通の洗濯で落ちるのか
香水に使われる合成香料の多くは、油性の性質を持っています。洗濯洗剤は中性やアルカリ性の成分で作られており、油性の汚れを落とすのに適した仕様となっているため、基本的には通常の洗濯で香水の匂いを落とすことは十分に可能だと考えられます。
洗濯しても匂いが取れない場合には、以下の3つの原因が考えられます。
② 洗剤が油性の汚れを落とすのに適していない
③ 汗や皮脂などと混ざり合って性質が変化し、洗濯で落としにくくなっている
洗濯で匂いが取れない最大の原因は、①の香料が繊維の奥に絡みつくことで起きていると考えられます。単純に塗布する量が多いことや、時間をおいて重ね付けしたり着用時の摩擦などが要因となり、香料が繊維の奥に入り込んで絡みついてしまいます。
表面に付着している時には洗濯で簡単に落としきれる成分でも、細かな繊維の奥に入り込んで染みついてしまうと、洗濯機で洗っても落としきれずに匂いが残ってしまうことがあります。
冒頭でも触れたように、香料は油性の性質を持った化学物質です。そのため、アルカリ性の洗剤を選ぶと効率よく繊維の奥の匂い分子を洗い落とすことができるでしょう。しかし、肌や衣類に優しいとされる中性の洗剤では洗浄力が弱く、匂い残りの原因となってしまうこともあります。また、香料の一部が皮脂や汗・紫外線や空気による酸化などで塗布後に性質が変化して、洗濯で落としにくい形に変化することも原因の一つとして考えられるでしょう。
匂い移りの可能性
洗濯で水に溶けだした香料が別の衣類に再付着する可能性は、ほとんどないと言えるでしょう。これは、一度水に溶けだした物質が衣類に再付着することを防ぐ洗濯洗剤の働きが関係しています。洗剤の主成分である界面活性剤には、汚れやニオイなどの原因物質を衣類から剥がし、物質の周りをイオンが包み込むことで別の衣類への再付着を防ぐという働きがあります。
しかし、洗濯カゴや洗濯機の中に長時間入れておくなど、洗濯より前の段階で隣り合う衣類に香料が移ってしまう可能性はあります。洗濯する直前まで別の場所に置いておくか、一度水で手洗いしてから洗濯機に入れると安心です。
香水の匂いの落とし方
・スチームアイロンをかける
・風通しの良い場所でしっかりと乾かす
1度の洗濯では落としきれなかった匂いや、付けすぎてしまい匂い残りが心配な時には、上記の3つの対策を講じて香料を綺麗に落としきりましょう。
一番のおすすめは「重曹+お湯」での手洗いです。匂いが強く付いている箇所を中心に優しく手洗いをして香料を落としていきます。
重曹は弱アルカリの性質を持っているため、油性で酸性の性質を持った香料と一緒にすることで中和反応を起こして消臭することができます。重曹を溶かしたお湯に、気になる衣類を10分程度浸してから軽く揉み洗いをします。その後は通常通り洗濯をしましょう。
スチームアイロンは蒸気を当ててシワを伸ばすものですが、衣類のニオイ取りにも高い効果を発揮します。高温で繊細なスチームの粒子とスチーム噴射の勢いで、繊維の奥に絡みついた香料の分子の結合を物理的に剥がし、スチームと一緒に外に押し出す効果があります。
そして最後に、風通しの良い場所で普段よりも長めにしっかりと乾かしましょう。
手洗いのひと手間がポイント
香りがよく生活を華やかにしてくれる香水ですが、付け方によっては洗濯後も匂いが残ってしまうこともあります。水やお湯での手洗いをするだけでもかなり高い効果があるので、匂いが気になるときには洗濯機に入れる前に予洗いをしてあげましょう。