洗濯洗剤・柔軟剤について学ぶ
合成洗濯洗剤と石鹸の違いを解説
私達が日常で使っている様々な洗剤の大半は「合成洗剤」というジャンルの製品です。一方で、固形や粉末の「石鹸」という別ジャンルの製品もあるのをご存知ですか?
両者の違いや、それぞれの特徴について分かりやすく解説していきます。
合成洗剤とは
合成界面活性剤を成分に含む洗剤のこと。石油や天然油脂などを原料とし、様々な補助剤と合成して作られる。
衣類洗濯用洗剤・食器用洗剤・風呂用洗剤・漂白剤・柔軟剤・歯磨き粉・ハンドソープ・シャンプー・車用洗浄剤・曇り止め・クレンザーなど使用される用途に適した成分配合を行うことで、幅広いシーンで活躍しています。
合成洗剤を構成する成分は2,000種類以上あり、用途によって配合を変えることで液性を酸性・弱酸性・中性・弱アルカリ性・アルカリ性と変化させています。
性質を変えることで、様々な種類の汚れを落とすことができるという特徴があります。
日本で合成洗剤の販売が始まったのは、1937年(昭和12年)のことです。開発当初の合成洗剤には、汚水として排出された際に分解されにくいリン酸塩が多く含まれていました。これによる環境問題が深刻化したこともあり、現在はリン酸塩を含まない合成洗剤が主流となっています。
当時の「合成洗剤=環境に悪い」という印象がいまだに払拭されない部分もあり、環境のために合成洗剤を使わないという意見も聞かれます。現在販売されている合成洗剤のほとんどは、環境問題に配慮した成分で作られており以前のように深刻な環境問題を起こす事例は聞かれません。しかし複雑な化学合成を経て自然界には存在しない物質であるが故、人体や自然への影響は度々世界的に議論に上がることもあります。
石鹸とは
化学合成されていない、天然油脂を原料として作られる。
オリーブ油・ヤシ油・牛脂など、天然由来の油脂成分や脂肪酸を主原料としています。ここに、温泉のお湯に含まれる成分であり食品の製造にも使われる炭酸塩などのアルカリ成分を加えて鹸化(化学反応)させることで作られたのが、石鹸です。
油脂成分に含まれている界面活性剤の一種である“長鎖脂肪酸ナトリウム塩”が、汚れを落とす役割を果たします。
石けんの歴史は紀元前3,000年代にまで遡り、水だけでは落としきれない汚れに植物の油や種を使って汚れを落としたことが始まりだと考えられています。その後、動物の肉を焼いた時の油と薪の灰の混合物が雨に濡れたことで石鹸が誕生したとされており、日本で最初に石鹸が製造されたのは江戸時代のことでした。
化学的な添加物がなくシンプルな成分構成となっている分、肌への刺激が少なく乳幼児や直接肌に触れる衣類にも安心して使うことができます。その一方で、洗浄力も穏やかであるため合成洗剤と比べると汚れを落とす能力が低くなります。
使用後の排水が自然環境に優しいという点が、石鹸の持つ大きなメリットです。天然成分で作られているため、排水として海や川に流れ出ても水と二酸化炭素の力で自然と分解されます。石鹸カスも微生物や魚のエサとなっても問題のない成分なので、地球環境に良い洗浄剤なのです。
合成洗剤と石鹸を比較
合成洗剤 | 石鹸 |
---|---|
排水は分解されにくい 低温でも溶けやすい 洗浄力が高い 価格が安い | 肌や環境に優しい 溶けにくい 洗浄力が穏やか 価格は高め |
合成洗剤と石鹸は、それぞれ異なるメリットを持っています。価格が安く高い洗浄力を持つ合成洗剤は、入れるだけで汚れを綺麗に落としてくれる手間の少ない洗剤です。一方で石鹸は、合成洗剤よりも高値で販売されているものの、肌や環境に優しく安心して使うことができます。
合成洗剤と石鹸の見分け方
合成洗剤 | 石鹸 | |
---|---|---|
品名 | 合成洗剤 ○○用合成洗剤 | せっけん(石鹸・石ケン) ○○用石けん |
成分 | 界面活性剤 洗浄剤 | 純石けん分(脂肪酸ナトリウム・脂肪酸カリウム) 石けん素地 カリ石けん素地 |
両者を見分けるポイントは簡単で、
製品裏の「成分」の欄に“石鹸(せっけん・石ケン)”という文字があるかないかで判断することができます。石鹸の成分部分には、上記のように様々なワードが使われることがありますが共通して“せっけん”という文字が含まれます。
一方で合成洗剤は「製品名」に“合成洗剤”と書かれており成分の欄には石鹸ではなく“界面活性剤”と書かれどのような化学物質が含まれているかが書かれています。
商品パッケージや形状だけでは、石鹸なのか合成洗剤なのか見分けが付きにくい場合もありますので、裏面の製品名や成分表示欄を確認するようにしましょう。
ライフスタイルに合わせて使い分ける
合成洗剤と石鹸は汚れを落とすためのものという点では共通ですが、それぞれに異なるメリットとデメリットがあります。普段洗っている衣類の汚れ度合いや頻度など、ライフスタイルに合わせてより最適な方を選ぶようにしましょう。