CBDについて知る
麻の実とカンナビノイド
麻の実とは大麻草の種・実のことを意味しており、英語ではヘンプシード(英:hemp seed)と呼ばれます。灰白色の扁球型で、直径は平均して5㎜前後です。堅い殻におおわれていて、中の実は柔らかく油分を多く含みます。
生のままではほとんど香味を感じることはありませんが、火であぶることで香ばしいスパイスのような芳香が現れます。麻の実には人間の身体に必要な必須脂肪分が豊富に含まれているので、炒ってそのまま食用として楽しまれています。
タンパク質と食物繊維・脂肪酸をバランスよく摂取できることから、整腸作用の高い漢方薬としても使われてきました。
麻の実から抽出したヘンプシードオイル
麻の実から絞った油は、「麻の実油」や「ヘンプシードオイル」と呼ばれ、美容や健康に良いとされ人気が高まっています。薬事法により規制されていた時期もありますが、2004年に化粧品の原料として認められているので、麻の実油を使った化粧品の国内での製造・販売が可能となりました。
現在の大麻取締法では、大麻草の茎と種子は規制の対象外となっているため、麻の実を所持・売買しても問題ありません。ただし、発芽しないように加熱処理されているものに限ります。日本では、年間1000トン近い加熱処理済みの麻の実が中国や東南アジア・ヨーロッパなどから輸入されています。その多くがそのまま食用として用いられたりペットフードとして流通しています。
カンナビノイドとトリコーム
CBDやTHCなど、大麻草に含まれる活性化合物の総称をカンナビノイドと呼びます。カンナビノイドの健康効果や精神効果が、近年注目を集めています。
このカンナビノイドは、大麻草の樹脂部分に含まれています。大麻草は、茎や葉・花穂など全体がべたべたとしたトリコームと呼ばれる突起で覆われています。この突起一つ一つに樹脂が含まれており、この樹脂の中にカンナビノイド・テルペンなどの活性化合物が豊富に含まれているのです。
トリコーム自体がカンナビノイド類やテルペンを生成・蓄積する器官であり、紫外線や害虫などから自分自身を守るために存在しています。麻の品種によってこのトリコームの量やトリコーム内に含まれるカンナビノイドの比率に差が生まれます。
CBD製品は、このトリコーム内の活性化合物を抽出して作られた物です。この抽出物は「ヘンプ由来抽出物」や「大麻草由来抽出物」と呼ばれ、刈り取ったヘンプや大麻草を加工してトリコームに含まれる活性化合物のみを抽出した液体やパウダーとして売買されています。
麻の実とカンナビノイド
麻の実の主な栄養素は、リノール酸・α-リノレン酸・ビタミンE・亜鉛・鉄分で、飽和脂肪酸とミネラルを豊富に含みます。日常の生活ではなかなか十分な量を摂取することが難しい栄養素も豊富に含んでいる為、古来より貴重な栄養源として食べられてきました。
七味唐辛子にスパイスとして使われていることは有名ですが、他にもナッツのようにサラダやカレーなどの料理に混ぜて食感や風味を楽しむ様々な食べ方があります。
また、少量で多くの栄養素を摂取できるためペットフードに含まれることもあります。
一方で実(種子)にはトリコームはありませんので、基本的にはカンナビノイドは含まれません。一部、麻の実や麻の実から絞った油(ヘンプシードオイル・麻の実油など)にもCBDが含まれているというメーカー側の記述も見られますが、基本的には人体に作用するレベルでカンナビノイドが含有していることはなく単純に上記のような豊富な栄養素を含む食品であると考えておきましょう。
CBDオイルなどのカンナビノイド製品は、トリコームに含まれる活性化合物を抽出し加工したものであり、麻の実の油分を絞って出たオイルや麻の実そのものに含まれる栄養素とは全くの別物です。麻の実も「麻」という植物の一部ではあるものの、カンナビノイドを含んでいる可能性はほとんどなく、カンナビノイドを摂取したい時には適さないと考えられています。
用途に合わせて選ぼう
《ヘンプ抽出物》 | 《麻の実》 | |
---|---|---|
採れる箇所 | トリコーム(樹脂) 茎・葉・花穂 | 成熟した花穂部に実る |
成分 | カンナビノイド テルペン 他、活性化合物 | 飽和脂肪酸 ミネラル |
効果 | カンナビノイドやテルペンによる薬理効果 | 栄養補給 |
麻の実油や市販の麻の実を食べることでは、CBDやTHCを摂取することには繋がりません。CBDやTHCなどのカンナビノイドを摂取したい場合には、茎や葉などのトリコームから抽出された抽出物を摂取する必要があります。
CBDオイルとヘンプシードオイルなど、一見すると同じような製品もありますので用途に応じて間違えないように選んでいきましょう。