ペットについて学ぶ
愛犬・愛猫に健康診断は必要?重要性や時期・検査内容・費用を解説!
ペットを飼育していく上で欠かせないのが、動物病院での定期的な健康診断です。最近では、ドッグドック・キャットドックなど犬や猫に特化した健康診断も行われています。
いつも元気いっぱいで餌もしっかり食べ、肥満気味なんてこともない。元気で健康的に見えていたらペットに健康診断を受けさせなくてもいい?と考える飼い主さんもいるでしょう。
ペットにどうして健康診断が必要なのか?何歳から受けるのか?タイミングはいつがいい?健康診断は高額なイメージがあるけど、費用相場は?など、犬や猫のペット健康診断について知っておきたい情報と、実際に受けたキャットドック(猫の定期健康診断)の検査内容や、費用についてもお伝えしていますので是非参考になさってくださいね。
犬や猫にも健康診断が必要な理由
ペットは、人間のように言葉を使って体調不良を上手に訴えることができません。意思表示が上手で自分の異変を飼い主に伝えることができる子であっても、具体的にどのような痛みがいつ頃からあるのかなど細かい変化までを飼い主に理解させてくれることは難しいでしょう。
また、ペットには心身に変化があってもそれを外部に悟られないようにするという本能があります。これは野生の頃の名残で、弱みを見せることで外部の敵から狙われないようにする、防衛本能の一種だと考えられています。
このような中で、病気や異常の早期発見はもちろん、さまざまな病気の発症リスクも知ることができるため、元気そうに見えるペットにも健康診断は必要です。
犬や猫の健康診断は何歳から受けるといいの?
大好きな飼い主さんや家族になら触れられることを喜んでも、慣れない人に触れられることにストレスを感じるペットも多くいます。特に猫の場合、家から出ただけでも強いストレスを感じるので、慣れない動物病院の環境に、見慣れない獣医師と不安も大きいでしょう。
仔犬や仔猫のうちは、ワクチン接種を終え、避妊去勢手術を受けるタイミングの生後6か月頃と考えておくといいでしょう。マイクロチップの装着についても相談することをおすすめします。
生後6か月~1歳 わんぱく期
動物病院に連れていき、問診・視診・触診を行います。その時にペットの便を持っていくことをおすすめします。仔犬や仔猫のお腹には、寄生虫がいることがよくあり、投薬で駆除が必要になります。
また、ノミやダニがいないか?しっかり確認してもらいます。この頃は先天的な関節の障害や、感染症の有無についても調べてもらいます。この時期の血液検査やX線検査は、避妊去勢手術を受ける際にもとても重要なデータとなります。
2~6歳 元気盛りヤング期
1歳を過ぎると身体もしっかりし、かわいいお顔に凛々しさも感じるでしょう。健康状態に気になる点がなければ年に一回、腎臓・肝臓を中心とした血液検査とX線検査を受けましょう。
体調を崩してからではなく、元気な時のデータを記録しておくことで、体調の異変に気付くきっかけにもなります。
7歳以上 シニア期
シニア期になると膵臓や肝臓をはじめ、内臓の動きにも気を配る必要性が高くなります。血液検査でも場合によっては、ホルモン値測定や超音波検査を追加するなど、ペットに合わせた健康診断の内容を獣医師としっかり相談しながら半年~1年に一回のペースで受けることをおすすめします。
ペット健康診断の費用は?保険は適用できる?
検査費用は病院によって様々で、1万円程で済む場合から10万円近くかかる場合など、非常に幅があるとされています。これは、健康診断でどのような内容を検査するのか・どのような機材が完備されているかなどが各動物病院によって異なるためです。
初めて動物病院を受診するという方は事前にホームページなどを見て確認しておくことをおすすめします。
動物の病院受診費は全額自己負担で、健康診断も同様です。また、保険会社が提供しているペット保険のほとんどは、健康診断を保険適用の対象外としています。しかし、健康診断で病気がみつかりその病気や怪我が補償の対象内であれば、治療費に対して保険金を請求することが可能です。
実際の愛猫の健康診断費用をご紹介します
8歳の愛猫の健康診断の検査内容・費用になります。健康診断には大きく分けて臓器・器官系の状態を調べる血液化学検査、全身を巡る血液から体全体の状態を調べる完全血球計算、尿検査、レントゲン・超音波検査があります。
シニア期に入ったことを考えると、画像検査も必要になりその分、健康診断の費用も高額になると想定していましたが、まず血液検査をし結果を見て、その他の検査を追加するか考えましょうと獣医師に提案していただきました。
ペットのストレスを少しでも軽くするためにも検査ま少ない方がいいですし、飼い主のお財布の負担も軽くなるのは、嬉しいことですので、問診・身体検査・血液検査で状態を確認してから必要なことを調べるという健康診断はとても良いと感じました。愛猫は血液検査だけで済んだので健康診断の費用は9,900円(税込み)でした。
採血料 550円
INDEX(猫総合健康診断の血液検査) 8,250円
合計金額 9,900円(税込み)
健康診断の血液検査に含まれていた内容
臓器や器官など体全体の状態を血液検査で確認すると言っても、どんな内容をチェックしているのか気になりますよね。
実際の健康診断に含まれていた血液検査の内容です。項目の多さを見ると人間の検査項さながらしっかりチェックされていることが分かります。
アルブミン(Alb) 2.6~4.0
グロブリン(Glob) 2.8~5.0
アルブミン/グロブリン比 –
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT) 34~120
アルカリフォスファターゼ(ALP) 13~119
ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT) ≦2.5
総コレステロール(Tcho) 80~290
総ビリルビン(Tbil) ≦0.8
グルコース(Glu) 74~150
INDEXX SDMA 0~14
尿素窒素(BUN) 15~33
クレアチニン(Cre) 0.8~2.1
BUN/クレアチニン比 –
カルシウム(Ca) 8.3~10.7
リン(P) 2.8~6.9
ナトリウム(Na) 146~159
カリウム(K) 3.2~5.4
クロール(Cl)113~124
赤血球数(RBC) 7.12~11.46
ヘモグロビン濃度(Hgb) 10.3~16.2
ヘマクリット(HCT) 28.2~52.7
平均赤血球容積(MCV)39~56
平均赤血球ヘモグロビン量(MCH) 12.6~16.5
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC) 28.5~37.8
白血球数(WBC) 3.9~19.0
好中球数(Neu) 2.62~15.17
リンパ球数(Lym) 0.85~5.85
単球数(Mon) 0.04~0.53
好酸球数(Eos) 0.09~2.18
好塩基球数(Bas) 0.00~0.10
血小板概数(Plat) 155~641
網状赤血球数(RET) 3~50
検査項目を学ぶ
一言で健康診断といっても、検査の項目は非常に多くあるためどこまでの検査をするべきかどうかは悩むポイントです。犬種・猫種から、発症リスクの高い病気はある程度絞られてきます。
また年齢によっても推奨される検査項目は変わってきます。獣医師と相談の上、必要な検査を考えていくようにしましょう。ペット向けの健康診断にはどのような検査項目があり、それぞれの検査でどのようなことがわかるのかをまとめました。
検査項目の内容によって、半日程度で完了する程度の軽い場合もあれば、全身麻酔を伴う本格的な検査となる場合もあります。
検査項目 | わかること |
---|---|
問診 | 日頃の様子や食生活・運動量などから、病気の発症リスクや現在抱えている不調の原因を確認 |
聴診 | 聴診器を使い、心音・肺の音・呼吸音・腸の音を聞き、異常がないかを確認 |
触診 | 骨格・関節・リンパの異常や、腫瘍やしこりがないかを確認 |
視診 | 耳・皮膚・肛門腺などの異常がないかを確認 |
尿検査 | 尿のph値や尿糖を検査することで、腎臓・肝臓・泌尿器系の異常がないかを確認 尿路結石・糖尿病・腎臓病の発見に繋がる |
血液検査 | 血球検査(白血球・赤血球の数や形状の異常がないかを診る) 生化学検査(血糖値・血中蛋白量・コレステロール値など内臓の健康状態を測る) 臓器の機能異常や貧血・寄生虫感染・ウイルス感染の有無が分かる |
糞便検査 | 実際の糞便を顕微鏡等で検査 寄生虫の有無や腸など消化器系に異常がないか確認 |
口腔検査 | 視診及びキットを用いて歯周ポケットの検査 歯肉炎・虫歯・口腔がんなどの発見に繋がる |
アレルギー検査 | 血液を採取して検査 食物アレルゲン(食べ物に対するアレルゲン反応のレベルを検査) 環境アレルゲン(ハウスダストやノミなど、環境に対するアレルゲンレベルを検査) |
ペットが健康診断を受ける際の注意点
健康診断は、基本的に事前の予約が必要になりますので、あらかじめ電話や来院で健康診断の予約をします。
その際に、水分やご飯の食事制限についてきちんと確認しましょう。
食事は前日夜から、水分は、当日の朝から制限されることが多いようです。薬を服用している場合は、健康診断当日の薬の飲み方についても忘れずに獣医師に相談してください。
また健康診断の検査内容に、尿検査・便検査が含まれている場合は、いつの尿と便を持参するのかも確認しておきましょう。私たち人間の排泄のようにタイミングを見計らうのはなかなか難しいので、普段から排泄のタイミングを知っておくことも大切です。
大切な家族だから毎日の健康管理が大切
普段から大切なペットの健康に気を配りましょう。餌を残していないか、目やに・耳垂れが出ていないか、毛艶はどうか、体を触って痛がるところはないか?など普段からチェックしていると小さな異変にも気が付きやすくなります。
健康診断は、大切なペットを健康な状態で長生きさせるために非常に大切なことです。定期的に健康診断を受けて、病気や異常の早期発見をし、毎日の健康管理に役立てることをおすすめします。