プロテインについて学ぶ
プロテインとインスリン
インスリンの過剰分泌を抑えるダイエット法があるなど、インスリンはあまり良いものではないとイメージされがちです。あまり知られていませんが、筋肉トレーニングをする人にとってインスリンはメリットが大きい物質の一つだと言われています。
今回は、
インスリンとは?
インスリンとは膵臓(すいぞう)の細胞内で作られるホルモンの一種で、別名「同化ホルモン」とも呼ばれます。
栄養素の同化を促進し、筋肉・脂肪組織・肝臓への取り込み量を増幅させます。
・血糖値を下げる
・糖をグリコーゲンや脂肪に変換し、蓄える
・たんぱく質の同化、合成促進
人間は糖分を含むものを摂取すると、血中の糖の値(血糖値)が上がります。血糖値の上昇が起きると、数値を下げようと膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンには、血管を拡張させ血液の循環を良くすることで筋肉や脳・肝臓への血糖の取り込みを促進させる作用があり、各所に取り込まれた糖は身体を動かすエネルギーとして利用されると同時に、肝臓を刺激して余分な糖をグリコーゲンに変化させて体内に蓄えるよう指令を出します。
具体的には、インスリンがグリコーゲン合成酵素の分泌を活性化させ、脂肪酸合成を促進させることで脂肪酸とグリコーゲンが「中性脂肪」という形で体内に貯蔵されるという仕組みです。これら2つの働きにより、人間は食事により上昇した血糖値を下げることができるのです。
血糖値を上げる効果のあるホルモンは複数ありますが、血糖値を下げる働きをするのはインスリンだけであり、身体にとって非常に重要なホルモンであることがわかるでしょう。
低糖質ダイエットとは
低GI(グライセミック・インデックス(Glycemic Index))とも呼ばれ、糖質を制限する健康法です。急激な血糖値の上昇は、インスリンの過剰分泌に繋がります。低糖質な食事を心がけることで、インスリンの働きが穏やかになり中性脂肪の生成を抑えられるという手法です。
筋肉とインスリン
インスリンの働きの一つに「たんぱく質の同化、合成促進」があり、具体的には以下のような作用を意味しています。
・筋肉の元となるたんぱく質の合成を促進させる
・筋細胞内のたんぱく質の異化を抑制
インスリンは筋肉の中心組織である骨格筋に作用し、アミノ酸の筋肉内への取り込み量を増加させ蛋白質の合成を促進させます。特にBCAAと呼ばれる、バリン・ロイシン・イソロイシンという3つの必須アミノ酸に対して効果的に働きかけることがわかっています。
BCAAは筋肉に含まれる必須アミノ酸の約35%を占める、筋細胞の主成分とも言える存在です。筋肉の材料であるBCAAが効果的に筋肉内に取り込まれることで、筋繊維のダメージの修復・成長が効率よく進みます。
また、身体を動かす際にエネルギーが不足していると、筋肉細胞のたんぱく質を分解してエネルギーとする「異化」が起こります。インスリンが筋細胞内に十分量の糖(グルコース)やカリウムを運ぶことで、筋たんぱくの異化を抑制し筋肉量の維持に繋がります。
プロテインとインスリンの関係
市販されているプロテイン製品の主な成分は、たんぱく質と糖質です。筋肉とインスリンの関係から考えると「たんぱく質と糖質」は、筋肉の成長にとって非常に有益な組み合わせです。
プロテインドリンクには大量の糖分が含まれている場合、摂取後は血糖値が急激に上昇し体内ではインスリンが大量に分泌されます。つまりプロテインを飲むということは、体内でインスリンとたんぱく質を共存させることを意味します。
インスリンが大量に分泌されることをデメリットであるという考えも多いですが、筋肥大を目的としているのであればメリットの方が大きいと言えるでしょう。筋肉の成長には漠然とたんぱく質を摂取するのではなく、より効果的に筋肉の成長に繋げるためにも糖分と一緒に摂取することがおすすめです。
注意点
インスリンが大量に分泌されている時に脂質を摂ってしまうと、インスリンの働きにより余剰分の脂質が脂肪細胞に変化して体内に蓄えられてしまいます。脂肪をつけずに筋肉の増強がしたい場合には、脂質の少ないプロテインを選ぶことや乳脂肪分の少ない加工乳で作るなどの工夫がポイントになります。
プロテインでバルクアップを目指そう
インスリンは、血糖値や糖尿病などに関連して出てくることの多いワードですが、筋肉とも関係していることが、お分かりいただけたのではないでしょうか。
中性脂肪の生成に気を付けながら、プロテインを使って効率よくバルクアップを目指しましょう。