プロテインについて学ぶ
牛乳からプロテインを作る過程
私たちの身近な食品である“牛乳”を原料に作られているのが、ホエイプロテインとカゼインプロテインです。これらのプロテインを作る過程や栄養価の違いなどを分かりやすく解説していきます。
牛乳とは
牛乳とは、牛の乳汁のことを意味します。日本の食品衛生法では、成分調整の有無などにより牛乳・低脂肪乳・成分調整牛乳などさまざまな分類がなされています。
牛から絞った生乳は、加工工場に運ばれて微生物や抗生物質の有無などの厳しいチェックを受けます。安全性が認められた牛乳のみが、加熱殺菌を経て私たちの手元に届けられます。
牛乳を元にした乳製品は非常に多く、ホエイプロテインやカゼインプロテインだけでなくヨーグルト・バター・チーズ・粉ミルクも牛乳を原料としています。
《100gあたりの栄養価》 | |
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エネルギー | 61㎉ |
たんぱく質 | 3.3g |
脂質 | 3.8g |
炭水化物 | 4.8g |
カルシウム | 110㎎ |
カリウム | 150㎎ |
牛乳には、カルシウム・たんぱく質・脂質など私たちの身体になくてはならない様々な栄養素をバランスよく含んでいます。飲料として手軽に栄養を摂取できることから、学校給食や病院食などでも欠かせない存在です。
牛乳は、人間が身体の中で作りだすことのできない9種の必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。世界各国でタンパク質に関する様々な指標がありますが、牛乳はいずれの指標においても含まれるアミノ酸のバランスが良いと高く評価されています。
牛乳の構造
《牛乳の成分割合》 | |
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水分 | 85%以上 |
乳固形分 | 15%前後 (内訳) 乳脂肪分 約3~4% 無脂乳固形分 約10% ・タンパク質3~4% ・炭水化物 4~5% ・ミネラル、ビタミン |
牛乳は、85%以上が水分です。残りは、タンパク質・ミネラル・乳糖・脂肪などで構成されており、これらをまとめて「乳固形分」と呼びます。牛乳をnmやμm単位の細かなろ紙を使ってろ過することで、上記の乳固形と水に分けることができます。
こうして取りだされた乳固形分は、乳脂肪と無脂乳固形分とに分類されます。
牛乳全体から見た時に、たんぱく質が占める割合は全体の3〜4%前後です。この内、約80%がカゼイン・残りの約20%がホエイ(乳清)と呼ばれます。
牛乳からプロテインを作る製法
カゼインプロテインやホエイプロテインは、ろ過をして水分を取り除き生成された「無脂乳固形分」をベースに製造されていきます。無脂乳固形分は、SNF(Solid not fat)とも呼ばれ水分と乳脂肪分を取り除いてはいるものの、たんぱく質・カルシウム・ミネラルなどの身体に大切な栄養素を豊富に含んでいるとして、世界的にも様々なシーンで重宝されています。
分子の大きさに合わせてろ過をすることで、ホエイとカゼインを分けることができます。
この時点ではホエイもカゼインもパウダー状ではありませんので、ろ過フィルターの膜処理をした後にできたそれぞれの液体を凝縮させて乾燥させることでプロテインパウダーが完成します。
ホエイプロテインやカゼインプロテインとして成分を凝縮させることで、タンパク質量は100gあたり70g〜80g以上と非常に高濃度とすることができます。
乳脂肪分はろ過の過程で取り除かれているので、脂質は抑えつつ牛乳に含まれる栄養素はしっかりと摂取できる仕様です。
パウダー状に生成されたたんぱく質に、ダイエット・ボディーメイク・健康維持など目的に合わせて必要な栄養素を付加させて製品化していきます。製品化の過程で重要となるのがフレーバーです。牛乳から脂肪分と水分を取り除き粉末化させて作られるプロテインパウダーは、水に溶かして飲んでも牛乳の味がする訳ではありません。各社様々なフレーバーをプラスして、牛乳や水と割った時に美味しくなるような工夫がなされています。
牛乳そのままとの栄養価の違い
牛乳をろ過して作られるのがプロテインなのであれば、牛乳を飲んでいればわざわざプロテインを買わなくてもOKなのでは?と思ったことはありませんか?
確かに、ホエイプロテインやカゼインプロテインは牛乳を原料としているので、牛乳を飲んでいれば同じ成分のたんぱく質を摂取することは可能です。
プロテインと牛乳をそのまま飲むことの最大の違いは“たんぱく質の含有量”です。プロテインドリンク1杯と牛乳1杯とでは、同じ液体の量であっても摂取できるたんぱく質量は大きく異なります。同じ量のタンパク質を牛乳から摂ろうとすると、何リットルも飲まなければならず脂質の量も摂りすぎとなってしまうでしょう。
乳製品より手軽なプロテイン
牛乳からプロテインを作る過程を簡単にまとめると、「牛乳から水分と乳脂肪分を取り除き、粉末化したもの」ということになります。知っておきたいポイントは2つで、「含まれるタンパク質の種類によってホエイプロテインとカゼインプロテインに分けられること」と「ろ過してプロテイン化させることでたんぱく質の含有量が高くなっている」という点です。
分離には、チーズやヨーグルトなどの乳製品を作る際にも用いられているろ過方式が採用されています。
同じ量のタンパク質を牛乳や乳製品から摂ろうとすると量が多くなり、続けるのが大変なのでプロテインを上手に活用してタンパク質をしっかり摂取するようにしましょう。